理事長 あいさつ

このたびは、水土里ネット荻柏原のホームページにお立ちより頂き、誠にありがとうございます。

本改良区は大分県の西南部に位置し熊本県高森町及び阿蘇市波野との県境にある標高350〜700mの西高東低の準高原地帯で地区面積1,057ha、組合員700名の土地改良区です。

明治時代、荻地域の広漠たる台地上に一滴の灌漑用水もなく、トウモロコシや大豆を植えて、その日暮らしをしている郷土のことを「古来、未だ灌漑ノ利開ケズ
、黍菽(イシュク)アリテ稲梁(トウリョウ)ナク農村ノ興隆得テ望ムベカラズ」と嘆いています。

明治12年に郷土の先達が農村の振興は稲作にあると信じ、大分県最大の河川大野川上流の熊本県高森町大谷川に水源を求め、荻高原台地への井路開削を計画。開削を計画。明治25年11月に荻村柏原村普通水利組合が許可され直ちに工事着手したがその後、幾多の変遷を重ねて深山幽谷の未踏の地を分け入り過酷な自然環境を克服し、水利権の獲得や資金の調達、戦争の勃発など、世情や社会制度の厳しい困難な条件の中、計画から半世紀を経て大正15年5月に水路延長248km、隧道27kmを開削し、水田378haを開田する工事を完成しています。

「蛙(カワズ)なく田となるまでの50年」

しかし、用水の絶対量が不足することから5年の歳月をかけ、昭和15年3月に県営事業により貯水量191万トンの大谷溜池が築造されました。


竹田市荻町(平成17年3月に荻町・久住町・直入町・竹田市が合併)の農業の基礎を確立した先達の偉大な功績と多くの工事従事者の苦労を忘れることなく、水の恩恵に感謝し、後世にこの大きなかけがえのない財産を引き継ぐべく、毎年4月10日に多くの関係者が出席のもと水恩祭を盛大に行っています。

現在当地域では、農業振興を企てるため昭和50年代に県営と国営による大野川上流農業開発事業に着手。県営による農地の圃場整備、農道、水路の改良事業は完了し水田転作と相まって、トマト・ピーマン等の施設栽培が導入され、農業収入も飛躍的に伸びています。特にトマトは西日本一の生産地として評価を受けています。

国営事業は有効貯水量390万トンの大蘇ダムをはじめ、関連施設の整備中で完成後は水田用水の安定供給、新たな農業の展開が大きく期待されます。

当改良区の歴史や役目を紹介し、皆さんと情報交換しながら改良区の役割を知っていただくと共に、運営にあたっていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

荻柏原土地改良区(水土里ネット荻柏原)
理事長  瀬井 宏一